第5話「伝説の鳥」

南アメリカには多くの巨大な鳥が生息する

 

最強、最大、伝説、様々な鳥がこの地では羽ばたいている

 

 

現代、最強の猛禽類と名高いオウギワシ
平均的な雌は全長1m
翼を広げれば2m、体重は7.5キロ

 

この種は人を攫う事が出来るとも言われている

 

だが、実際には自身の体重と同程度の物を運べる程度である

 

 

では、過去も含めて史上最大の鳥は何か?

 

飛ぶことができる種では

 

約600万年前に生息した太古の鳥アルゲンタビスが最大と言われている

 

翼を広げれば7m、体重は70キロ 

規格外の大きさである

 

ただ、自力で飛ぶことが出来ず
山の斜面などを利用し滑空していたとされている

 

世界各地では、様々な伝説の鳥の話が多く残さている

 

南アメリカも例に漏れず、不可思議な伝説の鳥の話が語り継がれている

 

 

-アタカマ砂漠-

1人の男が砂漠の真ん中でふと立ち止まり、自身の手のひらを見た。

 

手の平には金粉が舞い降り、男は空を見上げた。

 

空には黄金の鳥が羽ばたき金粉を降らせていた。

 

その男はピクンチェの頭領であるミチマだった。

 

マプチェ達のシンボルであるバンダナをつけてはいなく、ミチマの出立もやつれていた。

 

ミチマは黄金の鳥を見ながらこうポツリと呟いた。
「お前も抗わぬのか。」

 

-南のマプチェ/河辺-

まだあどけなさの残る幼きラウタロが川辺で佇んでいる。

 

バサバサと鳥の羽ばたきのような音がして、金粉が降ってきた。

 

聞いた事もない様な動物の鳴き声がする。

 

ラウタロは空を見上げ用とした時に、何者かに突き飛ばされた。

 

ラウタロは体勢を立て直し、自分が佇んでいた位置に目をやった。

 

そこには幼きナウエルが立っていた。

 

そして、ナウエルは両肩を爪の様な物で掴まれている。

 

その刹那、ナウエルは上空まで浮かび上がった。

 

ラウタロはさらに視界を広げると、巨大な鳥がナウエルを捉えて、羽ばたいている。

 

それをラウタロが認識したと同時に、一瞬の内にナウエルは巨大な鳥によって遥か彼方まで連れ攫われてしまった。

 

ラウタロの周りには、金粉と金の羽だけが漂っていた。

 

-南のマプチェの集落-

ダダダッ

 

ラウタロは駆け足で、父達の元に駆け寄った。

 

ラウタロ「ナウエルが俺の身代わりになって
大きな鳥に連れ去られてしまった。」

 

ラウタロの周囲の者達は、驚きの表情を見せた。

 

ナウエルの父アウカマンは、ラウタロの身体を下から上まで眺めた。

 

アウカマンは落ち着いた声色でラウタロに尋ねた。

 

「ところでラウタロ、
お前の身体に付いている、その光る粉の様なものはなんだ?」

 

ラウタロ「これは・・
その鳥が羽ばたく度に、この粉が降ってきたんだ。」

 

フタウエ「アリカント。」

フタウエがいつの間にかその場におり、言葉を発した。

 

!!

 

クリナンチュ「あの伝説怪鳥がこの地へ。しかし、北の砂漠に住むと聞いていたが。」

 

フタウエ「左様、じゃが侵略者共が現れて、住処を追われたのやもしれぬ。」

 

ラウタロは話を聞きながら俯いている。

 

アウカマン「そう気を落とすな、ラウタロ。

ナウエルは他者と親しくなるのに長けておる。」

 

ラウタロ「・・・」

 

アウカマン「たとえそれが、伝説の存在であったとしても、生きてる可能性は充分ある。」

 

 

 


ナウエルが目を開けると、眼前に鳥が映った。

 

鳥は叫びながら、ナウエルを嘴でつつこうとしてきた。

 

鳥の嘴を至近距離で交わし続けるナウエル。

 

鳥は渾身の速さで、一撃を加えようとした。

 

ナウエルは一瞬の力の溜めを見逃さず、宙返りにして後方に下がった。

 

 

「ちょっと待った!」

ナウエルは、手を突き出し、鳥の身体に目をやった。

 

ナウエル「もっと光輝く身体をしていたような・・

ひょっとして、あの伝説の・・」

 

ナウエルは辺りを見渡すと、自分が大きな木の上にいる事を把握した。

 

どうやらこの鳥の棲家らしい。

 

そして、金の塊が微かに自分の手元に転がっている事に気付いた。

 

ナウエルは塊を手に取り、鳥に差し出した。

 

即座に鳥は、金の塊を啄みだした。

 

ナウエル「君はお腹を空かしているのか??」

 

鳥は羽をバタつかせ、喜んでいる様であった。

 

ナウエルは目を凝らしながら、遠くに見える湖に目をやった。

 

-ビジャリカ湖(別名:石灰岩湖)-

 

ナウエル「あの湖は・・
だとするとここはピランの住処じゃないかな。」

 

ナウエル「ちょっと待ってて。」

 

ナウエルは木の上から飛び降りた。

 

 

-ビジャリカ山(別名:ピリャンの住処)-

 

アラウコには恒常的な溶岩湖を持つ、世界でも希少な火山が存在する。

※現在まで、この火山で金が採れたという情報はない。

 

ナウエル「昔訓練で来た時は確かこの辺りで・・」

 

ナウエルは洞窟に入って行った。

 

ナウエル「おっ、やっぱりあった!」

 

道なりに進んだ先には金の塊が所狭しと敷き詰められていた。

 

ナウエルが金の塊を抱えて、その場を後にしようとした。

 

その時・・

 

「待て!」

 

と神々しい声が洞窟内に鳴り響いた。

 

ナウエルの目の前に炎の柱が揺らめていた。

 

炎はナウエルに語りかけてきた。

 

「我はピリャンの精霊

ミリャ達を持ち帰るのであれば試練を受けてもらうぞ。」

 

ボグワっ!

 

爆発音と共に地面が割れ、ナウエルは捕まる場所もなく、地の底へ落ちて行った。

 

スタッ!

 

ナウエルは身を回転させながら、バランスを取り戻し、鮮やかに地の底へ着地した。

 

先ほどの位置から火柱が見下ろす様にナウエルに語りかける。

 

ピリャンの精霊「この炎が尽きるまで、我の元へ辿り着いてみよ。」

 

ナウエル「さっきのとこに戻ればいいんだね。」

 

ピリャンの精霊「左様、では行け。」

 

道なりに進むと、暗闇の中で蝙蝠が蠢いていた。

 

ナウエル「暗くて歩きづらいなぁ。」

 

さらに歩き続けると、蝙蝠の羽ばたきに混じって何か物音がした。

 

「ん?何か音がした様な・・」

 

その瞬間、ナウエルの頭上から物凄い勢いで何かが落ちてきた。

 

ナウエル「おっと!」

間一髪でナウエルは何かを躱わした。

 

ナウエルは落ちてきた物を手に取った。

 

ナウエル「これはセン・・コン・・?」

 

ピリャンの精霊「ほう、それを持つ事が出来るか。」

 

ナウエルがセンコンを持ちながら奥に進んでいく。

 

ザッザッ、パキッ!

 

ナウエルは何かを踏みつけた様だった。

 

地面に目をやると無数の白骨化した亡骸の様な物があたり一面に広がっていた。

 

 

ピリャンの精霊「ここで命を落とした者は50名。」

 

すると大勢の人影が現れた。

ナウエル「えっ、インカ兵がなんでここに?」

 

ピリャンの精霊「こやつらは幻影、ここに来た者達の姿を投影しておる。」

 

ナウエルは次々と襲いかかるインカ兵を、手にしたセンコンで難なく制圧していく。

 

 

ピリャンの精霊「ここで命を落とした者は30名。」

 

インカ兵に加え、矢が四方八方から飛んできた。

 

ナウエルはセンコンで矢をはたき落としながら進む。

 

さらに、左右の岩壁からは斧が手足を狙って切り掛かってきた。

 

ナウエル「よっ、おっと!」

 

ナウエルは全ての仕掛けを鮮やかに躱わして進んでいった。

 

ピリャンの精霊「何たる身の軽さ。傷一つ負わぬとは・・」

 

ナウエル「良い運動になったよ。」

 

ナウエルは、さらに奥へ進んだ。

 

ナウエルの目線の先には、こちらを見ている何者かが鎮座していた。

 

ピリャンの精霊「これで最後だ。
ここを乗り越えた者は、今まで1名。」

 

ビリビリとした覆い被さる様な圧が迫ってくる。

 

ナウエル「これは・・今までの奴らとはまるで違う。」

 

ナウエルは気を引き締める様に、センコンを握り返した。

 

金色の斧が頭上に高く輝き、ナウエルの想定を超えるスピードで振り下ろされた。

 

ナウエルに躱わす暇はなく、攻撃をセンコンで受け止めるしかなかった。

 

ゴン!

 

ナウエル「父さん並みに重い一撃だ。
このセンコンでなければ・・」

 

大男は間髪入れずに攻撃を繰り出してきた。

 

しかし、一発目の攻撃で既に目が慣れたナウエルは、攻撃を受けずに躱わし始めた。

 

1歩、2歩、3歩人間技とも思えない動きで、大男との間合いを詰めいく。

 

お互いが無傷では済まない間合いまで、近づくとナウエルの動きが変化した。

 

彼は岩壁を利用しながらあらゆる方向から攻撃を仕掛けた。

 

大男は身を翻し、仰け反り、時折金の斧で攻撃を捌く。

 

ナウエル「体格の割に身のこなしが軽い。
けど・・エルネイと比べたら・・」

 

ピリャンの精霊「ほう。貴様は、これほどの者と対峙するのは、初めてではないな。」

 

大男の咆哮が轟き、洞窟の壁に無限に反響するかの様に響き渡る。

 

大男の連続攻撃は凄まじく、息をつく間もなく無尽蔵に繰り出されいく。

 

最後の一撃は、これまでの攻撃の中で最も鋭く、空気を裂く音が「ビュオッ!」と鳴り響いた。

 

ナウエルもそれに呼応するかの様に渾身の一撃を繰り出す。

 

「浅い!」ナウエルはそう一言放った。

 

ナウエルのこめかみから血が噴出し、赤い放物線を描いた。

 

それと同時に、センコンは大男の体を貫き決定的な一撃を与えた。

 

ピリャンの精霊「見事だ。」

 

ナウエルは頭部から血を滴らせながら、ピリャンの精霊に言った。

 

「このセンコン気に入ったよ」

 

やがて大男は靄の様に姿を消した。

 

と同時に、髑髏を模した金の指輪が地面に落ちた。

 

ピリャンの精霊「しかし、こんな小僧が・・我が試練を成し遂げるとはな・・」

 

ナウエル「これで文句ないですよね?」

 

ピリャンの精霊「申し分なし。
一つ尋ねる。

なぜ貴様を食おうとしたアリカントを救おうとしておる?」

 

ナウエル「助けたいと思っただけかな。
お腹が空いてただけで、
僕に恨みがあって襲ってきたわけじゃないだろうし。」

 

ナウエルの手の平に金の指輪が飛び込んできた。

 

ピリャンの精霊「これからは好きにミリャを持っていくが良い。

その指輪は我がそれを許可した証じゃ。」

 

手の平から前方に目を移すと、炎は消えていった。

 

ナウエル「ありがとう。」

 

 

-アリカントの巣-

ナウエル「さあ、食べて。」

 

アリカントは物凄い勢いで金を食べていった。

 

 

・・数日後

 

ナウエル「もうミリャがある場所も分かったね。」

 

そう言うと、ナウエルはアリカントの足に金の指輪をはめた。

 

ナウエル「これで良しと!」

 

アリカントは嬉しそうに鳴いてた。

 

ナウエル「じゃあ、僕はそろそろ帰るね。」

 

 

-現在-

ラウタロ「ミリャを食べる鳥か。」

 

ナウエル「あいつ元気かなぁ?

 

食べすぎてないといいけど・・」

 

ラウタロ「満腹になると、飛べなくなるって話だったな。」

 

ナウエル「伝説って言っても 可愛いいもんだろ。」

 

 

-コパカバナ-

 

チカ「なんじゃそれは。」

 

オトナ「ペドレニャルと呼ばれるもので、俗に銃と呼ばれている代物です。

この引き金を引くと、凄まじい殺傷力を生み出す兵器です。」

 

 

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「アラウコの叫び」第5話目のCM

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