アラウコの叫び/本編

アラウコの叫び/本編

第27話「男装の麗娘」

-リマ 夜明け前-明け方前のまだ冷たい空気の中、静かに身支度を整えている者がいた。月明かりを受けるブロンドの短めの髪は、美しい輝きを放っていた。身体の線は細いが引き締まっており、それと不釣り合いな少年とも少女ともとれるあどけなさの残る顔をし...
アラウコの叫び/本編

第26話「フランシスコの裁決」

-フランシスコ・デ・アギーレ邸宅-アギーレには日課があった。朝起きると決まって、自身の部屋のバルコニーから煙草を吸いながら街を一望する。煙草の原材料は、ナス科のニコチアナ属の植物であり、現アルゼンチンとボリビアの国境付近が原産と言われている...
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第25話「総督代理」

-1547年12月 バルディビア邸大広間-バルディビアがガスカを支持する宣言をした宴で、ひっそりと酒を呑んでいた者がいた。ガスパル「グビッ!まあ、ワシは戦ができればよいのじゃ・・」「隣よろしいか?」粗野なガスパルとは対照的な装いの貴人がガス...
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第24話「総督の宣言」

ゴンサロ・ピサロは、兄やインカ帝国よりも広大な領地を掌握する事になった。ゴンサロ配下の者たちからは、スペインから独立し建国を勧める声までもあがってくるほど、脅威的な勢いを持つようになった。しかし・・たった1人の交渉人の登場により事態は一変し...
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第23話「ウアリナの戦い」

-ヌニェス処刑前-ゴンサロ「ウジョアよ、人目を忍んで遠路はるばるご苦労。」ウジョア「この事はバルディビア様の傘下の者たちも知らぬ行動。くれぐれも私がここにいる事は内密にしてくだされ。」ゴンサロ「分かっておる。チリ総督は現在繊細な位置にあるか...
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第22話「イニャキートの戦い」

ヌニェスはトゥンベスで兵を集い、サン・ミゲル・デ・ピウラ を占領し南下を続けた。一方ゴンサロはその報せを聞き、自ら軍を率いてリマを出発し、北上してトルヒーヨに到達する。ヌニェスは更に進軍すると、カルバハルがそれを迎え撃つ事になった。-ピウラ...
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第21話「アンデスの悪魔」

-リマ城門前広場-ザシュ!「ギャー」「ヒョホッ!さて、次はお主だぁ!お金持ちの方よ、ワシの様に長生きしたいか?」頭の禿げ上がった齢80ほどになる肥えた老人が、捕らえられた者の口に剣を突っ込みながら言った。老人の名はフランシスコ・デ・カルバハ...